穂別工事区 施工管理業務

初めての現場で北海道屈指の難工事を担うことに穂別工事区施工管理
道東自動車道は、北海道千歳市の千歳恵庭ジャンクションから、海道釧路市の阿寒インターチェンジ及び足寄郡足寄町の足寄インターチェンジに至る高速道路である。

入社4年目となる平成15年11月、北海道千歳の地に降り立った当時20代半ばの私は、以前より弊社が請け負っていた道東自動車道の夕張~占冠間のうち、むかわ町穂別全域と占冠村の西部を担当する施工管理業務のチームに加入しました。これが初めての現場経験でした。

このチームは、この路線の中でも屈指の難工事と想定され、道路トンネルとして当時道内最長(現在2位)の延長を誇る穂別トンネル(延長4.23km)を担当していました。

このトンネルが難工事と想定されたのは、これまでに激しい地殻変動の影響を受けた複雑な地質構造を呈し、非常に脆弱な蛇紋岩※に代表される変成岩が多く存在するとともに、土被りが最大約400mと非常に大きかったためです。

北海道の道央と道東を結ぶ重要なプロジェクト穂別工事区施工管理当時、道東自動車道の夕張~十勝清水間は急峻な地形と過酷な気象条件下にある日勝峠(標高1,022m)への回避が余儀なくされていましたが、この道東自動車道は夕張~十勝清水間が結ばれることで、道路標高が約400m下がり、道路の線形が大幅に改善されます。

そうしたことで、走行距離が約30km短縮され、所要時間が約50分も大幅に短縮されます。

また、標高が下がることにより、吹雪・濃霧・事故などのリスクが減少し、交通の安全性も大幅に向上することが見込まれていたことから、道東自動車道は北海道の東西分断を解消するとともに、道央圏と道東地域の連携を強化し、沿線地域の産業、経済、文化の発展に大きく貢献する道路として期待されていました。

その様な社会的にもトンネル工事としてもやりがいのある業務が初めての現場ということで、チーム加入当初から多くの貴重な経験の連続だったことを覚えています。

度重なる切羽崩落を乗り越えてもやってくる難所の数々穂別工事区施工管理当チームでは、平成15年3月に準備工事として穂別川工事に着手したのを皮切りに、順次本線工事に着手し、平成16年調査坑としての位置づけで、穂別トンネルに並行する避難坑を東西より掘り始め、平成18年3月以降東西より本坑の掘進を開始しました。

私が主に担当していた西工区では、蛇紋岩が出現する以前に、泥岩、緑色岩、粘板岩の破砕帯において幾度となく切羽崩落や大きな変位に苦しめられ、進捗を阻まれました。

私自身、初めての切羽崩落は今でも鮮明に脳裏に焼き付いており、自然の脅威に圧倒されたことを今でも覚えています。

そしてそれを乗り越え、とうとうトンネル地質の主体である蛇紋岩のおでましとなりました。

この区間の支保構造は、避難坑での実績を踏まえ、解析的な手法も取り入れて支保構造の安定を図るために、『高耐力二重支保工(高強度の材料を使用し支保工を二重にする工法)による早期閉合(インバート支保工までを早期に閉合するもの)工法』および地山の一体化を図り先行変位を抑制する『長尺外周補強工』を採用し、蛇紋岩に立ち向かいました。

多数の切羽崩落でも一人も欠けることなく迎えた貫通の瞬間蛇紋岩に立ち向かうため、たくさんの準備をしてきたことから、大きな変位や切羽崩落もあったものの、無事、平成22年7月23日、東西が貫通しました。

東西を分かつ最後の切羽から光が漏れたとき、大きな歓声があがり、前線の工夫さんやJV職員さん、ネクスコ職員さんと共に健闘を讃え合いました。

何よりも、あれだけ切羽崩落にあいながら、事故で一人もかけることなく、全員で貫通を喜び合えたことに大きな感動を覚えました。

平成23年10月に開通してから、7年。北海道旅行をした際には、必ず自身が携わったこのトンネルを駆け抜けています。そしてこれから何度でもこのトンネルを駆け抜けたいと思います。

蛇紋岩は地質的に脆弱な地質構造線や断層構造に沿って広く分布し、含水鉱物である為、風化作用を受けやすく、もろく崩れやすい性質がある。又、トンネル掘削により強大な土圧が作用し、内空断面が大幅に縮小するような膨張性を有する。


技術部 椎本

  • 穂別工事区施工管理
  • 穂別工事区施工管理

プロジェクト事例に戻る

メニュー