小坂工事区 施工管理業務

設計4年経験後、はじめての現場経験小坂工事区施工管理
日本海沿岸東北自動車道は、北陸自動車道と東北自動車道を結び、東北地方の日本海側における強化・発展を目的として計画されました。

そのうち、弊社は秋田県大館市~東北自動車道とを結ぶ小坂JCTまでの約6㎞区間における工事管理を担当しました。

自然の力を見せつけられる私たちが工事管理を担当したトンネルの地質は、新第三紀中新世の堆積岩(泥岩、凝灰岩類)で構成されており、泥岩・凝灰岩は膨張性を示す地質としてよく知られています。

掘削開始してから約500m進んだ付近から内空変位量の増大が顕著になってきたため、支保パターンを順次ランクアップしていきました。

しかしその後も内空変位量は増大し続けたため、変位抑制を目的に仮吹付インバートで早期閉合を図り、仮インバート(ストラット)も施工していました。

前日に上記の対策を実施した区間を翌日見に行ってみると、そこでは鋼アーチ支保工がぐにゃっと曲り、本設インバートや仮インバートが崩壊していました。

初めて自然の力をまざまざと見せつけられ、「こんな山、本当に掘れるのかな?」と不安になったことを覚えています。

重金属を含む土砂は饅頭のように封じ込め盛土小坂工事区 施工管理当該地域周辺は、世界的に有名な黒鉱鉱床(海底火山活動で堆積した銅、鉛、亜鉛などの多金属を含む地層)が存在しているため、トンネル掘削により発生するズリ(岩石)が原因となり重金属等の流出による農作物や健康被害の発生が危惧されていました。

そこで有識者や専門技術者からなる委員会が設置され、トンネル掘削土に対して重金属を有害量含んだものか、含んでいないものかを判定する方法や処理方法について検討されました。

重金属を有害量含んだものについては、「管理型ずり」と称して本線脇の管理型盛土場に搬出しました。

管理型盛土場の構造は、遮水シートによって有害土を完全に封じ込める方式で、いわば饅頭の中にアンコをくるむような処理方法です。

小坂工事区 施工管理夏の暑い時期に真っ黒な遮水シートを敷き並べ、継ぎ目を熱圧着させます。これだけでも厚いのに、水一滴でも外に出さないよう管理しなければならないので、熱圧着継ぎ目部に針を通す確認試験をひたすらやり続けた記憶があります。

この甲斐もあり、盛土後の周辺河川水のモニタリングにおいても異常は認めらませんでした。

コンクリート技術者としての成長小坂工事区 施工管理この現場で約9年勤務する間に、私はある生コン工場の工場長と仲良くなることができました。

その方は自分の工場から出荷される生コン打設の日には必ず現場に来て、出荷された生コンの状態や打設中の状況、時には仕上げまで携わるほどとても熱心な人でした。

コンクリートにとても造詣が深く、大学の授業でしか生コンに触れたことのなかった当時の自分にとってはまさに先生と呼べる人で、その方からコンクリートに関する様々なことを教わることができました。

また秋田の冬はとても厳しく、時にはマイナス30度近くになる日もあります。

ポップアウト(粗骨材中の水分が凍結・膨張し、コンクリート表面のモルタル分が剥離するという現象)を初めて見たり、寒中養生がうまくいかずコンクリートを凍結させてしまう失敗もしました。

このように秋田の現場で出会った人や気候により技術者として成長し、コンクリート技士・コンクリート診断士の資格も取ることができました。


技術部 井上


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