引佐北区 施工管理業務

設計8年経験後、はじめての現場経験引佐北区 施工管理業務
第二東名高速道路は当時、現東名高速道路の渋滞解消と災害や有事における迂回路を担う目的として山間部に計画されました。

そのうち、弊社が担当した業務は、愛知県境に近い静岡最西部に計画された1500mの本線トンネルと、現東名高速に繋げる連絡路と長野側に伸びる三遠南信道路との接続部となる、わが国最大規模の高規格ジャンクションの工事管理でした。

トンネルボーリングマシン(TBM)引佐北区 施工管理業務第二東名は、設計速度140㎞/h相当の超高規格道路として車道3車線+フルショルダー幅員で計画されたため、トンネル部は当時としては実例のなかった断面積200㎡の大断面扁平トンネルを採用していました。

この大断面の標準工法として採用したのが、「TBM導坑先進拡幅掘削工法」でした。この工法は、大断面の中央にトンネルボーリングマシン(TBM)にてあらかじめ導坑を先行して施工し、その導坑が有すさまざまな効果を期待して、安全かつ合理的に拡幅施工を行うことを目的としたものでした。

幸いなことに弊社は、この第二東名高速道路に先駆けたパイロット事業であった秋田自動車道 湯田第二トンネルにおいて、TBM導坑先進拡幅掘削工法の設計から施工計画、積算基準作成、施工結果の集積まで、TBMでは他社に先駆けた経験を有していたので、自分には初めての現場経験でありましたが、自信をもってこの現場への参画を希望しました。

想定外に劣悪な地質しかし、自然は、そう簡単に私たちの期待通りにはさせてくれませんでした。

計画時は、1台のTBM機で上下線2本の導坑を約1年で施工する予定でしたが、実際には、導坑2本を貫通するのに3年近くを有したのです。

地質は、恐竜が生息していたといわれる時代に、海溝深く付加生成されたメランジ構造(硬いものと破砕されたものが混在する岩)と称す堆積岩で、非常に亀裂に富んでいるため、わずかな水で、もろく崩れやすく、トンネル屋にはとても厄介な地質でした。

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選択肢のないジレンマTBM機はシールド機同様、切羽の状態を直接目で確認することができないため、マシンの推力やトルク、排土の状況などあらゆる情報を駆使しながら施工を進めましたが、カッタヘッド前方からの切羽崩壊によりマシンが停止する事態に見舞われました。

狭隘空間のため、捕まったマシンを救出して再稼働するための手段としては人力掘削しか選択肢がなく、1日の進行がわずか50cmといった日もあり、崩壊のたびに2カ月程度の復旧期間を要しました。

TBMを貫通させたのちのNATMによる拡幅掘削においても、破砕帯部で切羽崩壊を招いたが、積極的に補助工法を駆使して安全の確保に努め、無事拡幅掘削の完了を迎えることができました。

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貴重な経験引佐北区 施工管理業務トンネル掘削による地すべりの誘発と対策、盛土場での予期しなかった希少植物の発見と保護対策、橋梁下部工施工場所のホタル環境の回帰保護なども経験しました。

また、造る側と地元との意見の食い違いなど、設計で勉強したことが通用しない場面にもたくさん出会いました。

トンネル貫通式の日、人力掘削という厳しい作業環境の中、最後まで現場の安全を貫いていただいた工夫の親方が、"いやぁ、大変でしたよ。でも、よかった。ありがとう"と涙を流しながらささやかれたときは、思わずもらい泣きをしてしまいました。

それぞれの立場が違っても、同じ目標に向かって苦労を共にし、最後にいい結果が残せることがこんなにも感慨深いものなのかということを、はじめての現場経験で痛感したことを覚えています。


技術部 田中



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