調査・劣化診断:トンネルを守る、大切な仕事
~既設トンネルの調査・点検~
私たちが毎日使っている道路やトンネル。実は、完成したあとも『安全に使い続けるために、定期的な健康診断』が必要です。
点検・調査の仕事は、トンネル壁面にひび割れがないか、雨水が染み出していないかなどを目で見て確認したり、音を使って壁の状態を調べたりする、とても大切な仕事です。
こうした調査の結果をもとに、補修や補強の必要性について判断し、トンネルを長く安全に使い続けるための計画づくりにも関わります。
最近では、車に高精度カメラを搭載してトンネル内を撮影し、トンネル内を忠実に再現する新しい方法も使われています。
点検STEP①現地点検
- 点検するトンネルに出向き高所作業車現場等を使用してコンクリートの壁(覆工)に近づいて、ひび割れや破損の状況を確認します。
- ハンマーで軽くたたいて音で中の状態を調べる打音検査や、写真撮影なども行います。
- もし破片が落ちそうな危険な場所があれば、応急的に取り除いて通行者の安全を守ることもあります。
点検STEP②点検、調査結果の整理
- トンネルの展開図(トンネル内の状態を図で表したもの)に、ひび割れや劣化・破損した場所を記録します。
- 地形や地質、トンネル工事時のデータ(断層の有無や湧水の量など)と現地の状況を照らし合わせながら原因を考察します。
点検結果をまとめた展開図例
点検STEP③トンネルの健全度診断
- 調査結果をもとに、「このトンネルはどのくらい健全か」を評価します。
- 補修や補強が今すぐ必要かどうかをスパン毎(一定区間ごと)やトンネル全体で診断します。
点検STEP④補強、補修工設計
- 診断の結果、補修や補強が必要な場合は、効果的でコストパフォーマンスの良い工法を選び、設計図を作成し、工事に必要な材料の数量や設備の計画を立てます。
つくるだけじゃない。守り続けることで、未来につながる。トンネルは完成して終わりではありません。
「安全に使い続けられること」こそが、本当のゴールです。
調査・点検の仕事は、"インフラを守る設計者"としての誇りを感じられる大切な役割。
人々の安全な暮らしを支えるこの仕事に、興味を持っていただけたら嬉しいです。